0からスタート!ゲーム開発ブログ

ゲーム開発に関する様々な記事を更新します

【ゲーム企画】個人ゲーム開発ってどうやって進める?企画の考え方を解説!(3/3)

はじめに

前回はゲーム開発を始めるにあたっての企画決めの事例について紹介しました。

wizardia.hateblo.jp

企画を元にどんどんゲームの開発を進めていきたいところですが、最初に考えた企画には不確実な要素を含んでいることが多いのです。 そこで、不確実な要素を減らし、なるべく早い段階で企画を洗練させていくためのアクションが必要になります。

ゲームの試作を行い、最小限のゲームを遊んでみることで、こういった不確実な要素を減らし、企画を成功させる可能性を上げることができます。 時には試作して遊んでみたものが想像以上に面白くなく、企画の修正が困難な場合もあります。このような場合はその企画を諦めて次の企画の検討に移ることもあります。 (筆者の場合はこういった屍が多いのですが…(^-^:))

本記事では筆者が開発した「盗賊少女」を題材にし、企画を元に試作を行うことで問題点を見つけ、企画にフィードバックしていく様子についての事例を 紹介していきます。

store.steampowered.com

試作で達成すべきポイントを決める

前節にて触れたように、最初の企画には不確実な要素が多く含まれており、リスクの高い状態であることが多いものです。 一方、試作開発にたくさんの要素を投入すると多くの時間やお金がかかってしまいます。 つまり、試作開発で開発要素を追加し過ぎてしまうと、多くの時間やお金が無駄になってしまう可能性が高いと言えます。 そこで、試作の段階では達成すべきポイントを絞り、不確実な要素を上手に減らしながら失敗のリスクを抑えながら企画の修正を行ったり、 開発を継続するかどうかの判断を行っていきます。

では、実際に試作の段階で達成すべきポイントはどのように設定すればよいのでしょうか? 試作開発の目的は企画の中身が妥当であるかどうかを検証することです。 これを判断するために最低限必要なこと、すなわち試作の段階で達成すべきポイントの一つは 「企画で価値があると仮説を立てたユーザ体験を実際に得られるかどうか」であると言えます。

上記を踏まえて、試作開発でやることを下記のように絞り込んでみました。

上記に必要ない部分は極力試作開発に含めないようにします。 例えば画像やサウンドの準備は最小限にし、 ユーザ体験の検証に絞って試作していきます。

↑丸と四角だけの超シンプルな試作物

ユーザ体験における問題点とその分析

試作したゲームを遊んでみたところ、特に以下のような点が気になりました。

  • ゴールに突撃すれば簡単にクリアできてしまう
  • 敵が多いと突破できないので何か攻撃する手段が欲しい
  • 敵に見つかると即窮地に追い込まれるので猶予手段が欲しい

これらは総じてゲームの難易度に関するもので、ドキドキハラハラ感を得るためには ルールの見直しによりステージの難易度を調整する必要があることがわかります。 これらの問題点とその対策についてそれぞれ説明していきます。

ゴールに突撃すれば簡単にクリアできてしまう

試作の段階ではゴールのオブジェクトが最初から最初から表示されている状態でした。また、敵に見つかって追いかけられていてもゴールが出現したままだったので、ステージをクリアするだけであれば強行突破ができていました。 これでは難易度が低くなりすぎてしまうので、以下のような制限をルールに加えることでゴールに到達するまでの難易度を少し上げるようにしました。

  • 最初のアイテムを取らないとゴールが出現しないようにする
  • 敵に追いかけられている間はゴールを消滅させる

同じステルスアクションのゲームであっても1ステージの長さがある程度あり、かつ敵の攻撃が遠距離攻撃で熾烈であれば、ゴールを最初から出現させていても難易度の問題はないかもしれません。しかしながら、今回のゲームでは1ステージの長さが短く、敵は銃のような飛び道具を使うわけでもなく追いかけてぶつかるだけです。そのため、ゴールの出現条件を少し厳しめに設定し、難易度のバランスをとるようにしました。

↑ まっすぐゴールに突撃する

敵が多いと突破できないので何か攻撃する手段が欲しい

先ほどのゴールの出現条件とは逆の話になりますが、敵の数を増やしすぎるとどうしてもステージを攻略できなくなるケースが考えられます。また、敵を排除する手段がないとゲームとしての面白さに欠けてしまうことも考えられます。 実際のところ、試作ゲームを作って遊んでみると見つからないように立ち回る楽しみは確認できたものの、もう一工夫欲しいと感じていました。

↑警備が厳重だとほぼ突破できない

さて、問題は攻撃手段です。よくあるステルスアクション系ゲームの多くは銃火器を用いて攻撃することが多いのですが、今回は可愛い感じのゲームにするというコンセプトですので、銃火器を使うのは好ましくありません。そこで、今回は木箱を使うことにしました。木箱を押して敵にぶつけると敵が倒れて消滅する、というものです。こういったブロックを移動させるという要素はパズルゲームでよくあるやり方で、今回のゲームでもこういったパズル要素を入れるようにしてみました。

このようにゲームの世界観を崩さないような攻撃手段を取り入れることで、ゲームの難易度の見直しをしつつ、敵を倒すという遊びの要素を追加しています。

↑木箱で敵を攻撃する

敵に見つかると即窮地に追い込まれるので猶予手段が欲しい

一般的なステルスアクションゲームの場合、敵を遠距離から攻撃できることが多いです。そのため、中距離から敵にみつかりそうになってもその的を排除すれば被発見を避けることができます。 一方、本ゲームでは主人公が遠距離攻撃を行うことができないため、敵にみつかりそうになると回避する手段がなく、即座に被発見状態になります。 この問題も試作ゲームを遊んでいて気になった点で、敵に発見されそうになった時の猶予手段を設け、追い詰められた時の難易度を少し下げる必要があると考えていました。

↑集団で追い込まれる

さて、市販のステルスアクションゲームはどのような工夫をしているのでしょうか?これらの中には敵に見つかった瞬間に時間の流れがスローモーションになり、自分を見つけた敵を一瞬攻撃する猶予ができるようなシステムになっているものがあります。一方今回のゲームの場合は主人公は遠距離攻撃の手段を持ちませんので、自分を見つけた敵を攻撃することができません。唯一の攻撃手段である木箱を使おうにも、木箱が近くにある保証はないため、木箱で攻撃するのも現実的ではありません。

そこで、今回のゲームでは敵を攻撃するのではなく、とにかく回避をすることに主眼を起きました。具体的には敵に見つかった瞬間に敵の移動が止まり、近くに隠れられそうなところがあればそこに飛び込めるようにしました。もし猶予時間中に敵の視界に入っても、猶予時間が終わるまでに敵の視界から外れれば敵に追跡されなくなるため、それだけ難易度が緩和されます。

↑敵が止まっている間に急いで逃げる

終わりに

今回は試作したものを遊んでみて気づいたことを挙げていき、企画にフィードバックしていく様子を紹介しました。 企画と試作を実際にやってみて思ったこと・ポイントになりそうなことはことは下記のようなことではないかと思います。

  • ユーザ体験とコンセプトの検証、実現可能性の検証に絞って、まずは最小の構成で作ってみる
  • なるべくたくさん遊んでみて、コンセプトに合わないところや面白くない部分を分析し、対策を立てる
  • 立てた対策を企画にフィードバックしていく

筆者のように企画を考えるときに見落としが出てくる不安がある人は、企画立案はほどほどの時間で一旦終えて、試作してみることをお勧めします。 実際にアプリを動かしてみて遊びの感触を確認することはモチベーション維持のためにも大事なことです。

また、試作を終えて1ステージ完結できるようなデモを作り始めたりステージの量産を始めたりすると、企画の内容を修正することが困難になってきます。モデリングデータなどのコンテンツデータやステージのデータなどを作る時間または外注費用が無駄になってしまうからです。そのため、企画へのフィードバックはできる限り試作フェーズで済ませたいところです。

ゲーム開発にはアプリ開発スクール『ウィザーディア』がおすすめ!

ウィザーディアはゲーム完全特化型のオンラインプログラミングスクールです。 ゲーム開発の知識を学べるのみでなく、オリジナルの自作ゲームを完成させるためにプロのエンジニアやデザイナースタッフのサポートが得られるプランも開設予定。 もちろん企画面のサポートも充実。興味がある方は、下記のリンクから早速カウンセリングと体験入学を予約してみてはいかがでしょうか?

https://www.wizardia.co.jp